こんにちは!DAYS応援サポーターのたてのです。
今回は、2025年4月に照葉はばたき小学校の隣に開館した「照葉はばたき公民館」を訪問してきました。福岡市内で唯一の木造平屋建ての公民館は、館内は天井が高く開放感があり、ガラス窓から光が差し込む明るい空間となっています。また、開館以来、地域の方が日常的に利用する憩いの場所になりつつあります。
施設の特徴やどのような取り組みをされているかを公民館館長の岩本さんと主事の仮屋さんに伺いました。
▼プロフィール
岩本 雅弘さん 照葉はばたき公民館館長。10年ほど前からアイランドシティに居住。アイランドシティのさまざまな住民活動に携わる。 |
仮屋 祐子さん 照葉はばたき公民館主事。アイランドシティに移住して約20年。照葉北公民館で2年間研修し、照葉はばたき公民館へ。自身がアイランドシティで子育てした経験から、公民館では子育て世代に向けた取り組みを多く実施している。 |
照葉はばたき公民館Instagram ▷https://www.instagram.com/terihahabataki/
準備期間から住民の要望に応えることを大切にした
ーーガラス張りで木材が多く使われている公民館ですね。外から様子がわかるので入りやすくて、温かい雰囲気が印象的です。建物の特徴やこだわりを教えてください。
仮屋さん 中に入るとふわっと木の香りがするのは、ロビーに福岡市産のヒノキが使われているからです。ロビーと講堂の天井は福岡県内のさまざまな地域の木材を組み合わせたつくりになっています。「木の香りと温もりを感じる」と利用者の皆さんからお声をいただいていますし、私たちスタッフも「雰囲気の良さ」を感じながら働いています。福岡市内で木造平屋建ての公民館は「照葉はばたき公民館」だけだと聞いています。
ーーインテリアもすてきですね。
仮屋さん ロビーのテーブルやいすは、温かみのある雰囲気に合うように選びました。ロビーにあるソファは、住民の方が寄付してくれました。子どもたちが寝っ転がってマンガを読んだり、小さいお子さんがお母さんと一緒に座ったり、すっかりくつろげるスポットになっています。
それから、おもちゃやキッズテント、書籍なども住民の方から寄付していただきました。皆さんのお力をお借りして、とても良い公民館ができているんじゃないかなと思っています。
ーー地域の方の要望をしっかりと聞きながら建設、開館されたと伺いました。どのような要望があったのか、またそれをどのように反映したかを具体的に教えてください。
仮屋さん 公民館の建設を始める前に、地域の方やシニアクラブの代表が入った建設準備委員会を設立しました。そこでさまざまな意見が出たと聞いています。
それから、福岡市市民局が「新しい公民館建設にあたってご意見をいただけませんか」と住民の方の意見を募っていました。
要望としては、「未就学児や小学生が安心して遊べる」「図書の機能」「勉強できるスペース」「気軽に休憩ができる」などが挙がっていました。
図書に関しては、地域の方から寄付いただいた本と、福岡市総合図書館から団体貸出で借りた200冊の本(半年ごとに入れ替え)を提供することで要望に応えています。
また、学校に行けない子どもたちが気軽に来られるフリースペースの運営や日曜日に小学生がスタディルームを使用する際の見守り当番などを「はばたき居場所づくり実行委員会(有志)」が担っています。
このように住民の意見を大事にしながら準備を進めてきました。
建物は、講堂と学習室の仕切りを収納して空間を広く使えるようになっています。和室と児童等集会室も同様です。ロビーを中心に開放的な設計になっているのはそのような意見が出たからだと聞いています。
あとは、シニアラウンジの中に入ってすぐに座れるスペースがほしい、洋服をかけるスペースがほしい、倉庫の中に道具を片付けられる設計にしてほしいという要望があり、建設会社と準備委員会のアイデアをすり合わせて最終的に設計が決まりました。
ーー住民の皆さんに「自分たちの公民館」という意識を持ってもらえるような取り組みを多く行っている印象があります。どういう想いで取り組まれていますか。
仮屋さん アイランドシティ内にある他の公民館(照葉公民館、照葉北公民館)は子育て支援など住民のための活動を熱心にされています。私も子育てをしていたときに公民館や地域の人にとっても助けられたので、照葉はばたき公民館も住民の皆さんにとってそういう場所でありたいと思っています。
地域に何か恩返しをしたいと考えていた時に照葉はばたき公民館ができることを知って、主事になるために照葉北公民館で2年間研修しました。2年間で知り合いもたくさんできましたし、照葉はばたき公民館ができることも周知できました。
おかげさまで、照葉はばたき公民館の内覧会には1日で170人の来館者がありました。バイオリニストの櫻野先生にもコンサートを開いていただいて、ほんとうに地域の皆さまに支えていただいているなと感じています。今後も、住民の皆さんに「自分たちの公民館」と思っていただけることを目標に活動していきたいと思っています。
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ーー平日の昼間でも人が多いのが印象的です。住民の方が来やすい工夫はされていますか。
仮屋さん 通常、ロビー以外のお部屋は団体で予約をして使っていただくのですが、はばたき公民館の周辺は児童と子育て世代の方がとても多いので、児童等集会室をいつも開放しています。今日もそうですが、親子連れの方が来てくださることが多いですね。開館時間と同時にいらっしゃる方、ほぼ毎日いらっしゃる方もいます。マンションだと足音が下の部屋に響くからなかなか思いっきり遊べないでしょうし、暑いとずっと外にいることも難しいですからね。ここなら冷房も効いているし、年齢の近いお友だちも作りやすいはずです。おかげさまで開館以降、来館者が0だった日は一日もありません。とってもすてきでしょう?
ーー公民館だよりを見ていると「まなびあい学級」のような親子連れで参加できるイベントも多く開かれていて、小さいお子さんを持つ親のつながりを作ろうとしているのかなと。どのような想いで実施されているのでしょうか。
仮屋さん 親同士のつながりはとても大事だと思っています。いま、気軽に話せるお友だちができるのもそうだし、子どもが中学生ぐらいの年齢になると親にいろんなことを話さなくなっちゃうんですよね。その時に、保護者同士のつながりが大事だなと、私も子育てしながら感じていたので、今のうちから種をまいておきたいなと。結構先のことも見据えています。
ーーなるほど。シニア世代の利用状況はいかがですか。
仮屋さん 先日、シニア体操教室を企画したら、定員の20名を超える方が来てくださって、シニアルームに入らないからロビーでやりました。その後の茶話会も多くの人に参加いただいて、同世代で集まる企画への関心の高さを感じました。シニアルームも積極的に活用いただけたらと思います。
ーー他に来館者の方に対して心がけていることはありますか。
仮屋さん ちょっとしたことですが、人が来たらお出迎えして、帰る時もお声がけするようにしています。そういう積み重ねがあるからか、「鍵を落とした」と子どもがやってきたり、児童の名札を拾った方がいらっしゃったり、困り事があると来てくれるようになりました。たとえば、名札など落とし物を届けていただいたら、私たちから学校に電話します。公民館だからここまでしかやりません、ではなくて人と人の間を結ぶことはなるべくやりたいと思っています。
公民館は災害などの非常時に避難場所になることもあるんですよね。いざという時に、顔見知りや公民館を利用している方が多ければ多いほどみんなで協力できるはずです。そういうことも考えながら運営しています。
住民みんなで“私たちの公民館”をつくっていく
ーーどのような公民館を目指していますか。目標やビジョンを教えてください。
岩本さん 照葉に住んでいる皆さんそれぞれに、照葉への想いや公民館は自分に何をしてくれるんだろうといった期待感があると思います。住民主体で話し合いながら公民館としてその思いに応えていきたいです。
仮屋さん いま公民館で行われている活動は、住民サークルが中心で、公民館は共催(サポート)という理想的な形のものが多いです。今後も地域の意見を生かした活動をおこなっていきたいですね。
仮屋さん また、公民館って高校生や大学生がなかなか来ないのですが、照葉はばたき公民館には18歳の学習補助員がいます。同世代の人がいるとわかれば足を運びやすいですよね。そういうところからいろんな方に来たいと思ってもらえる公民館を目指しています。
また、読み聞かせやお掃除などをボランティアの方が担ってくださっているので、地域の方にお世話になりながら、公民館を一緒に作り上げていきたいなと思っています。
ーー地域の方に一言お願いします
仮屋さん 私たちは住民の皆さんにとって敷居の低い(=通いやすい)公民館を目指しています。冷暖房も完備されて快適ですし、wi-fiもありますので、特に目的がなくともふらっとお立ち寄りいただけたら嬉しいです。

【編集後記】
取材時、親子連れが2〜3組やって来てみんなでのびのび遊んでいる様子が印象的でした!公民館の中は光が差し込むので常に明るく、天井が高くて広々としていました。
岩本館長、仮屋主事のお話を伺って、運営するみなさんのさまざま取り組みや心がけがあるから、公民館を訪れるみんなが居心地良く過ごせているんだなとしみじみ感じました。すでに住民サークルによる活動が活発に行われている照葉はばたき公民館。今後、ますます活気のある、住民たちの生活に根ざした場所になっていくことを願っています。