アイランドシティ北東部に2024年4月24日、「アイランドシティはばたき公園」がオープンしました。今回オープンしたのは整備中の公園の東側にある「野鳥観察の丘」で、湿地に飛来する渡り鳥などの野鳥を観察できます。この公園の特徴を、福岡市港湾空港局の古賀さん、吉野さん、管理事務所所長の松岡さんに聞きました。 (文中敬称略)
「アイランドシティはばたき公園」の魅力
−−「はばたき公園」の特徴を教えてください。
自然との共生を目指すアイランドシティの中で、市民の皆さんが気軽に自然と触れ合い、環境や生態系について学習できる場として整備しています。博多湾は渡り鳥が立ち寄る中継地点です。渡り鳥をはじめとする鳥類や水生昆虫など、多様な生物が生息する湿地を備えているのが、この公園の大きな特徴です。
−−「野鳥観察の丘」がオープンしましたが、どのように利用できますか?
管理事務所では無料で双眼鏡の貸出しを行っていますので、バードウォッチングが初めての方でも気軽に、湿地に集まる渡り鳥などの野鳥を観察できます。博多湾にはこんなに豊かな自然があると知り、環境に興味を持っていただけるきっかけになるとうれしいですね。また、子どもたちにも自然環境の大切さを学んでもらえればと考えています。
−−野鳥が過ごしやすい工夫はありますか?
背が高くなるような木は海側に植えないようにしているんですよ。野鳥は警戒心が強く、人の姿や物音に反応して飛び立ってしまいます。そこで湿地周辺は人の立ち入りを制限し、野鳥を驚かせずに観察できるバードハイドという観察施設を設置しています。
また、不思議な気もしますが、植物が湿地を覆うほど増え、自然環境の遷移が進んでしまうと、生き物の多様性は減ってしまうらしいのです。自然環境で河川の氾濫原に生じる湿地には、さまざまな種類の生き物が暮らせるそうです。そのような多様な環境を維持するために、草を抜いたり草刈りをしたりという保全作業を行っています。
一方で、草が生い茂っている環境を好む鳥もいれば、草のない環境を好む鳥もいます。草のある所、ない所、多様な環境を作っていかないと生物の多様性が下がってしまうので、湿地の管理に気をつけています。
−−何種類くらいの鳥を見ることができますか?
年間を通して60種類くらいの鳥が湿地にやって来ます。朝夕に公園を回り、管理事務所内のホワイトボードに確認できた鳥の名前を書いています。事務所では公園の案内や生き物に関わる展示などを行い、双眼鏡や車椅子も貸し出しているので、気軽にお立ち寄りください。
渡り鳥は種によって湿地を利用する時期が異なるので、季節ごとに違う種類の鳥を見ることができるのも公園を訪れる楽しみの一つになると思います。
公園の整備について
−−アイランドシティは、緑豊かな環境ですね。
アイランドシティ全体が環境共生のまちづくりを進めているので、公共の場所だけでなく住宅地でも緑化に取り組んでいただいています。また、福岡市では、博多湾東部、アイランドシティ周辺の海域・海岸域を「エコパークゾーン」と位置付け、自然環境を守るさまざまな取り組みを行なっています。「はばたき公園」は、このエコパークゾーンの一部で、人と自然との共生を象徴する空間として整備されています。
−−はばたき公園の整備はどのように進められたのですか?
鳥類や海岸域の環境に詳しい専門家の意見を聞き、整備を進めました。平成29年度から整備を始め、まず、丘や池などの地形を造りました。湿地周辺の植物は人が植えたものではなく、風に乗ってやって来たり、飛来する鳥について来たりして、自然に入って来たものです。
鳥は水の中に入って虫や草を食べますが、体の大きさによって脚の長さも違います。サギ類など体の大きな鳥は脚が長く、シギ・チドリ類などの小さな鳥は脚が短いため、いろいろな鳥が餌を獲れるように、湿地の底部にはなだらかな傾斜をつけて緩やかに深さが変わるようにしています。
−−他にも公園整備のポイントがありますか?
池の水には水道水や井戸水などは加えていません。湿地周辺に降った雨水が集まってきて、できた池なんです。
雨水を湿地の水の供給源にする方が、より自然に近い環境の成り立ちに近づけることができるんです。
−−水が無くなることはないのでしょうか?
夏場など水の蒸発量が大きくなる時期には、一時的に水深の浅い部分は干上がることがありますが、池の底の泥が空気に触れ、乾燥・酸化することで水質改善が期待できると専門家から助言をいただいています。
令和9年度に公園全体が完成予定
−−イベントなども開催されているそうですが。
毎月第3土曜・日曜にイベントを企画しています。バードウォッチングや湿地に住む生き物についての講座、自然環境の保全体験などを行います。公園のホームページで紹介するほか、福岡市の市政便りなどにも掲載する予定です。
−−今後の整備計画を教えてください。
令和9年度までに公園西側の芝生広場や築山(つきやま)を整備していく予定です。芝生広場でお弁当を食べたり、築山に登って博多湾を眺めたり、自然の中で気持ちよく過ごしてもらえればと考えています。この公園が環境学習の拠点になっていけば、整備した私たちとしてはうれしいですね。
−−最終的には、どれくらいの規模になりますか?
奥行き200メートル、横700メートル、広さ約12ヘクタールという、かなり大規模な公園になる予定です。湿地で学んで広場で遊んで、1日楽しんでもらえるような使い方をしていただければと願っています。
−−完成すると、公園の楽しみ方がさらに広がりそうですね。本日はありがとうございました。
※公園全景と野鳥の写真は福岡市提供
所在地・アクセス
アイランドシティはばたき公園
利用時間 年中無休
管理事務所 9:00〜17:00(12/29〜1/3閉館)
所在地 〒813-0017 福岡市東区香椎照葉7丁目
連絡先 TEL:092-692-7525 FAX:092-692-7528
アクセス
車 福岡都市高速6号線 アイランドシティ出入口より約5分
バス 「照葉北小学校前」バス停降車後 徒歩約15分
駐車場 24時間利用可能 1時間100円、12時間最大500円
▼公園の詳細やイベント情報はホームページで確認できます。
https://habataki-park.jp/